多くの市民や近隣自治体の住民から惜しまれつつも幕を下ろした高砂市民プール。その閉鎖に至った決定的な理由は、1974年(昭和49年)の開設から45年以上が経過したことによる設備の著しい老朽化と、それに伴う財政的負担の限界にありました。
開設当初は最新鋭のレジャー型市民プールとして脚光を浴びましたが、長年の海水混じりの潮風や紫外線、地盤の経年変化により、プール本体のコンクリート躯体の亀裂、大規模な漏水、配管設備の腐食、さらには地下機械室に設置された循環ろ過装置の致命的な故障が頻発していました。高砂市の試算によると、安全基準を満たした上で施設を抜本的に大規模改修・維持更新するためには、数億円から十数億円規模の莫大な公費投入が必要不可欠と判明したのです。
これに拍車をかけたのが、高砂市が進める「公共施設再編(公共施設等総合管理計画)」の実行でした。人口減少と少子高齢化が加速する中、市内に点在する昭和期に建設されたインフラをすべて延命することは財政上不可能です。年間わずか約40日間しか稼働しない夏期限定の大型プールに対し、多額の税金を投じて維持し続けることは、行政評価および費用対効果の観点から極めて困難であると結論づけられました。新型コロナウイルス禍による休園を契機として設備の精密診断が行われ、修繕困難と判断された結果、市議会での審議を経て正式な「廃止条例」が可決されるに至りました。