能條愛未の足跡を語る上で避けて通れないのが、2018年12月における乃木坂46の卒業理由です。彼女は冠番組『乃木坂って、どこ?』や『乃木坂工事中』において、類まれなリアクション能力と物真似で番組を盛り上げる名バイプレイヤーとして愛されていました。
しかし、本人の胸中にあったのは「芸人枠」としての安住ではなく、幼少期から憧れ続けていたミュージカルの舞台でした。彼女の経歴・プロフィールを振り返ると、グループ加入前の幼少期から児童劇団で歌とダンスを叩き込まれ、舞台『アニー』のオーディションに挑むなど、もともと生粋の演劇少女でした。グループが東京ドーム公演を成功させ、トップアイドルへと上り詰めていく熱狂の陰で、「このままアイドルとしてのキャラクターを消費されて20代後半を迎えてよいのか」という深刻な葛藤を抱えていたことが、当時の公式ブログや手記からも読み取れます。
2018年、24歳という年齢でグループを去った決断は、安定した人気とアイドルの看板を自ら脱ぎ捨てる覚悟の表れでした。「演劇の世界でゼロから勝負したい」という一念で行われた卒業公演は、乃木坂46の仲間たちからもその実力を称賛され、温かい拍手で見送られることとなったのです。