「金曜の夜は街から主婦が消える」――当時、そんな言葉がまことしやかに囁かれたほど、本作が巻き起こした波紋は大きかった。番組の成功という枠を超え、日本社会の雰囲気を塗り替えるほどの社会現象へと発展していったのだ。郊外のモダンな住宅、海外インテリア、ワイングラスを傾けながら語り合う週末のホームパーティー。画面に映し出された洗練されたライフスタイルは、当時の視聴者にとって憧れであると同時に、背徳の舞台装置でもあった。
家庭を守る妻であり、母でありながら、心の奥底で一人の女性としての情熱を求める葛藤。高度経済成長期を経て豊かさを手に入れた日本人が、ふと直面した心の空虚さを突くリアリティがそこにはあった。週末の入り口である金曜夜、静まり返ったリビングで画面を見つめていた大人たちは、ドラマの破滅的な美しさに自らの秘めた願望を重ね合わせていたのだろう。