写真集市場の歴史を語るうえで、白石麻衣が達成した偉業を避けて通ることはできない。彼女の代表作である『パスポート』は、グループアイドルの写真集=ファン向けアイテムという従来の固定観念を根底から覆した。講談社が仕掛けたマーケティングは巧みであり、女性層すら惹きつける洗練されたビジュアル表現と過度な出し惜しみのない構成が、ロングセラーという異例の結末を生んだ。
出版社の現場でも、この成功体験は大きな指針となっている。単発の話題づくりに終わらせず、重版を重ねて何年にもわたり売れ続けるタイトルをどう育てるか。講談社が見せた緻密な事前プロモーションとターゲット層の拡大戦略は、現在の出版市場におけるひとつの教科書として機能し続けている。