なぜスタジオジブリのキャラクターは、これほどまでに人間の心理深層に刺さるのか。その根源は、長年にわたりスタジオを牽引したふたりの巨匠、宮崎駿と高畑勲の創作哲学にある。
彼らが描く登場人物には、単純な「善と悪」の二元論が存在しない。宮崎駿が描くヒロインやヒーローは、勇ましさの裏に不安を抱え、高畑勲が緻密に観察したキャラクターたちは、日常の生々しい感情の機微を撒き散らす。スタジオジブリが世に送り出してきた人物像は、固定化された記号ではなく、矛盾と葛藤を抱えた「生きている人間」そのものだ。だからこそ、診断の判定項目として設定された際、受診者は自身の複雑な内面をそのまま投影できるのである。