三色団子という極めて小さな和菓子の中に、なぜこれほどまでに重層的な意味が込められているのでしょうか。その本質は、日本人が古来持ち続けてきた「自然への畏敬」と「日常への遊び心」の調和にあります。
厳しい冬を越え、花が咲き誇る春の到来を喜ぶ感情は万国共通です。しかし、それを「残雪」「若草」「桜」という3つの色彩に抽象化し、さらに「秋がない=商い繁盛」という知的な言葉遊びにまで昇華させたのは、自然と共生しながら言葉の機微を楽しんできた日本文化ならではの到達点といえます。
季節の移ろいに敏感であり、食べ物を単なるエネルギー源としてではなく「季節を身体に取り込む儀礼」として捉える感覚。三色団子を手に取る行為は、400年以上前の秀吉の宴や江戸の町人たちが抱いた春への高揚感と、今なお地続きでつながっている証拠なのです。