本作の大きな特徴は、その世界観の設定にある。物語の舞台となるのは、テクノロジーの過剰な発達と環境破綻によって光と影が極限まで分断された近未来のディストピアだ。
しかし、単なる派手なVFXやアクションに頼った大作SFとは一線を画す。根底に流れるのは、崩壊しかけた世界の中で「人は何を信じ、どう生きていくのか」を問う深いSFヒューマンドラマの精神だ。殺伐とした世界の中で交錯する人間の愛憎、絶望の中に差し込むわずかな希望の光。是枝監督が得意とする人間観察の眼差しが、未来都市というキャンバスの上でかつてない深度で発揮されている。