ドラッグストア等で手軽に購入できる泡カラーやエマルジョンタイプの市販剤。「ブリーチなしで簡単ピンク髪」といったパッケージの謳い文句に惹かれ、セルフカラーに挑むケースが後を絶ちません。しかし、プロの技術体系から見れば、市販剤によるピンクブラウン染めは最も事故率の高い選択肢であると言わざるを得ません。
市販ヘアカラーは、あらゆる髪質(太い剛毛から細い軟毛まで)を染まりやすくするため、サロン専用剤と比べてアルカリ濃度と過酸化水素の配合量が極めて高く設定されています。その結果、以下のような不可逆的な失敗が発生します。
- 根元ばかりが明るく染まる「逆プリン現象」:頭皮の体温が高い根元2センチだけが過剰にリフトし、光を浴びると頭頂部だけが赤く浮き上がってしまう現象。
- 毛先の激しい炭化・沈着ムラ:過去のダメージが蓄積している毛先に薬液が強く反応し、毛先だけがどす黒い赤色に濁って沈着する。
- 次回のサロンカラーへの悪影響:高密度の金属イオンや粗悪な酸化染料が髪に残留すると、数ヶ月後に美容室で明るくしようとしてもムラになって色が抜けない「履歴事故」を誘発する。
1,000円前後の市販剤で済ませようとした結果、サロンでの色ムラ修正やトリートメント補修におよそ15,000円〜25,000円の修正費用を要面することになった事例は、現場の美容師から数多く報告されています。髪の美しさと均一な色表現を保つためには、薬剤の塗布量を部位ごとにコントロールできるサロンでの施術が不可避です。