チェーンストークス呼吸とは?原因と終末期の余命・看取り対応を解説

チェーンストークス呼吸とは?原因と終末期の余命・看取り対応を解説

チェーンストークス呼吸とは?原因と終末期の余命・看取り対応を解説についての真相をお届けします。

チェーンストークス呼吸は、18世紀から19世紀にかけてアイルランドの医師ジョン・チェーン(John Cheyne)とウィリアム・ストークス(William Stokes)によって詳細に記録された歴史ある症候です。最大の特徴は、「無呼吸」から始まって次第に呼吸が深く・速くなり(漸増:クレッシェンド)、ピークに達した後に再び浅く・遅くなって(漸減:デクレッシェンド)、再び完全な無呼吸に陥るという規則正しい波状のリズムを描く点にあります。

この特異なリズムが起きる背景には、脳の延髄にある呼吸中枢と、血液中のガス濃度を感知するシステムとの「情報のタイムラグ(フィードバックの遅れ)」が存在します。通常、人体は動脈血中の二酸化炭素分圧(PaCO2)を常にモニタリングしており、血中二酸化炭素濃度が上がると呼吸中枢が刺激されて換気を促し、濃度が下がると呼吸を抑制して一定のガスバランスを維持しています。

ところが、後述する心疾患や脳血管障害によってこの制御機構が破綻すると、以下のような悪循環が形成されます。

まず、無呼吸が続くと血液中に二酸化炭素が蓄積し、動脈血PaCO2が異常に上昇します。過敏になった呼吸中枢がこれに過剰反応を起こし、猛烈な呼吸指令を出すことで激しい「過呼吸」が始まります。しかし、肺で二酸化炭素を大量に吐き出し終えた新鮮な血液が脳に到達するまでに時間がかかるため、呼吸中枢は換気が十分に行われたことに気づかず、必要以上に過呼吸を継続してしまいます。

その結果、血中の二酸化炭素濃度は呼吸を維持するための限界値(無呼吸閾値)を大幅に下回るレベルまで激減します。過度な低炭酸ガス血症を感知した脳は、一転して呼吸筋への指令を完全にストップさせ、再び10秒〜30秒以上の完全な無呼吸へと突入します。この1サイクル(周期)は約30秒から2分(平均60〜90秒)で反復され、患者の体力を徐々に削り取っていくのです。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。