SAVOYの歴史を語る上で欠かせないのが、日本のナポリピッツァ界に革命を起こしたレジェンド職人たちの存在です。テレビのグルメ特番や専門誌の手記で歴代の職人が語ってきたサヴォイピザのこだわりと真相は、まさに職人技の極致と言えます。
「ピッツァは窯に入れる前の生地を伸ばす段階で8割が決まる。残りの2割は薪の配置と炎の呼吸を合わせること」――過去に名匠がインタビューで語ったこの言葉通り、カウンター越しに見る調理風景はまるで真剣勝負の舞台です。発酵室から出された生地玉は、指先のリズミカルな動きだけで一瞬にして円形へと伸ばされ、決して麺棒などでグルテンを潰すことはありません。
特筆すべきは、生地に振られる塩の存在感です。SAVOYのスタイルは、一般的なナポリ基準よりもやや強めに塩を効かせることで、小麦の甘味を劇的に引き立たせます。この強めの塩気があるからこそ、ミルキーで淡白になりがちなフレッシュモッツァレラチーズがぼやけず、酸味豊かなトマトソースとガツンと噛み合います。
約500度に達する窯の中では、ピッツァパーラ(焼き床用ヘラ)を操り、ピッツァを炎の最も適したスポットへと誘導。わずか数十秒の間に生地がプツプツと膨らみ、コルニチョーネに香ばしい「おこげ(斑点)」が刻まれます。この焦げ目の苦味がアクセントとなり、トマトとチーズの甘美な味わいを大人向けの重厚な風味へと仕上げているのです。