仮面ライダーを語るうえで絶対に外せないのが、映画界やドラマ界の主役を担うトップ俳優たちを次々と輩出してきた事実です。歴代仮面ライダー俳優の現在を追うと、日本エンタメ界の第一線で活躍し続けるスターたちの名前がずらりと並びます。
『仮面ライダークウガ』で主演を務めたオダギリジョー氏は、映画監督としても世界的な評価を受け、独自の芸術性を放ち続けています。『仮面ライダー電王』で1人複数役を見事に演じ分けた佐藤健氏は、映画『るろうに剣心』シリーズをはじめ日本映画界を背負うトップランナーとなりました。『仮面ライダーW』のフィリップ役でデビューした菅田将暉氏は日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。『仮面ライダードライブ』の竹内涼真氏、『仮面ライダーフォーゼ』の吉沢亮氏(仮面ライダーメテオ役)や福士蒼汰氏も、大河ドラマの主演や国民的ドラマの顔として君臨しています。
なぜ、仮面ライダーはこれほど高確率でスター俳優を生み出し続けられるのでしょうか。大手芸能事務所関係者やキャスティングディレクターへの取材から、その構造的な理由が浮かび上がります。
第一に、「1年間におよぶ過酷な撮影現場」という実戦経験です。東映東京撮影所を中心とする現場は、朝5時集合や泥だらけのアクション、アフレコ(声の吹き替え)、グリーンバックでのCG合成演技など、役者に求められる基礎体力を叩き込みます。自著や当時の特番インタビューで多くの主役俳優たちが「ライダーの現場で芝居のイロハと現場スタッフへの感謝を骨の髄まで叩き込まれた」と告白しているのは偶然ではありません。
第二に、「視聴者のリアルな視線に晒される緊張感」です。毎週の全国放送に加え、週末には全国のショッピングモールや劇場でのキャラクターショー、舞台挨拶が控えています。子どもたちのまっすぐな憧憬の眼差しと、子どもと一緒に画面を凝視する母親層からの厳しい審査眼に1年間晒され続けることで、表現者としての自覚と「人前に立つプロフェッショナリズム」が急速に醸成されるのです。
令和に入っても、『仮面ライダーゼロワン』の高橋文哉氏が民放ドラマや映画で次々と主演を飾り、Z世代を代表するアイコンへと躍り出たことは記憶に新しい事実です。「ライダー出身」という肩書は、今や若手俳優にとって最大の信頼の証として業界に定着しています。