鼻をかんだ直後の一過性の痛みであれば、時間の経過とともに気圧が戻り治まることもあります。しかし、翌日になっても痛みが引かない、あるいは時間が経つにつれて痛みが悪化している場合、単なる気圧の刺激ではなく病気へと進展している可能性を疑わなければなりません。
最も警戒すべきは、細菌やウイルスを含んだ鼻水が耳管を通って中耳へ逆流し、感染症を引き起こす「急性中耳炎」です。中耳の粘膜が急激に炎症を起こして膿がたまると、鼓膜が外側に激しく膨隆し、拍動性の激痛や高熱を引き起こします。
また、耳管周辺の粘膜が腫れ上がって空気の通り道が塞がれる「耳管狭窄症」に移行すると、鼓膜が内側に引き込まれたままになり、頑固な耳の詰まり感や難聴が長期化します。さらに強い圧力がダイレクトにかかった場合、耐えきれなくなった鼓膜が破れる「外傷性鼓膜穿孔(鼓膜破裂)」に至るケースも実際に報告されています。
以下の比較表は、鼻をかんだ後に起こりやすい代表的な耳の異常とその特徴、危険度をまとめたデータです。
特に注意すべき鼓膜破裂の症状としては、鼻をかんだ瞬間に「ポン」という破裂音とともに強烈な激痛が走り、直後から周囲の音がこもって聞こえにくくなったり、耳から少量の血液や浸出液が出たりする兆候が挙げられます。鼓膜は再生能力が高いため小さな穴であれば自然閉鎖することも多いですが、感染を防ぐための適切な処置を怠ると慢性中耳炎へと移行し、恒久的な難聴を残す危険があります。