伊勢湾の四季は実に賑やかだ。春から夏、そして秋から冬へと移り変わるにつれ、狙い目の魚種は劇的な変化を遂げる。
秋口から冬場にかけて熱気を帯びるのが、底物の王様ヒラメだ。活きエサのイワシをいかに自然に泳がせ、本アタリまでじっくり食い込ませるかが勝負の分かれ目となる。「アタリがあっても焦らず待つ」独特の駆け引きは、アングラーの胃をキリキリさせるほどの緊張感をもたらす。大型の座布団ヒラメがタモに収まる瞬間の歓喜は格別だ。
一方、鋭い歯と銀色の刀のような魚体を持つタチウオも外せない。深場から浅場まで、群れのタナ(水深)を迅速に捉えることが数釣りの鉄則だ。ドラゴン級と呼ばれるメーターオーバーのタチウオが竿先を強烈に引き込むファイトは、一度味わうと病みつきになる。
さらに、餌取りの天才として知られるカワハギ戦も見逃せない。知多半島の岩礁帯に潜むカワハギは型が良く、肝の膨らむ時期には極上のターゲットとなる。微細なアタリを感知してアワセを叩き込む高感度なゲーム性は、テクニカルな釣りを愛する手練れを唸らせている。