光月おでんの強さを語る上で外せないのが、四皇カイドウとの一騎打ちです。当時すでに「最強の生物」として恐れられていたカイドウの頑強な龍の皮膚を切り裂き、唯一無二のトラウマを植え付けた事実は、おでんの武力が四皇最高幹部を遥かに凌駕し、世界トップクラスの次元に達していたことを証明しています。その力の源泉となったのが、ワノ国で「流桜」と呼ばれる武装色の覇気と、選ばれし強者のみが扱える覇王色の覇気を武器に纏わせる超高等技術でした。
しかし、勝敗を分けたのは純粋な実力差ではありませんでした。カイドウの軍勢と真っ向から衝突した決戦において、おでんは二刀流の奥義「桃源十拳(とうげんとつか)」を叩き込み、カイドウを地に伏せさせます。追撃を仕掛けようとしたその瞬間、黒炭ひぐらしが「マネマネの実」の能力を使って人質に取った息子の光月モモの助の姿に変化。わずかな動揺から視線を逸らした隙を突かれ、カイドウの渾身の金棒「雷鳴八卦」を後頭部に受けて敗北を喫しました。この卑劣な騙し討ちこそが、カイドウ戦の決定的な真相です。
捕縛されたおでんを待っていたのは、罪人として油の入った大釜で煮殺される「伝説の1時間」釜茹での刑でした。オロチとカイドウに対し、「1時間耐え切ったら生き残った者を解放する」という条件を呑ませたおでんは、巨大な橋板を担ぎ上げ、その上に赤鞘九人男の家臣たちを全員乗せた状態で煮えたぎる油の中に一人で浸かり続けました。温度は徐々に引き上げられ、常人であれば数秒で骨まで溶ける極限状態の中、おでんは見事に60分間を耐え抜きました。
だが、狡猾なオロチは最初から約束を守る気などなく、耐え切った直後に「銃殺刑」へと急遽変更します。すべてを察したおでんは、担いでいた家臣たちを渾身の力で釜の外へと投げ飛ばし、「ワノ国を開国せよ」と未来を託しました。最期はカイドウの手によって頭部を銃撃され、「一献の酒のお伽になればよし 煮えてなんぼの おでんに候」という不朽の名言を残して笑顔のまま釜へと沈んでいきました。このあまりにも壮絶で気高い死に様は、処刑を見届けたワノ国の民衆の魂に永遠に刻まれることとなったのです。