年齢を重ねるにつれ、沢田研二の表現者としての深みは増すばかりだ。映画『土を喰らう十二ヵ月』で見せた自然体の演技と佇まいは、かつてド派手な衣装とメイクで歌謡曲の頂点に立ったスターと同じ人物とは思えないほどの豊かな人間味を漂わせた。
昭和の歌謡曲から平成・令和のJ-POPへと続く日本のポップス史において、彼が残した功績は計り知れない。かつてビジュアルと音楽性の融合で時代を牽引した男が、晩年は地に足をつけた生き方を体現している。その背中は、将来もし孫が表現者としての道を歩むことになった際、最高の道しるべとなるに違いない。