旅の大きな楽しみである食文化において、豊橋は強烈なカウンターパンチを繰り出してくる。その筆頭が「豊橋カレーうどん」だ。一見すると、自家製麺にスパイシーなカレールー、地元の名産であるとろとろのうずら玉子が乗ったごく普通のカレーうどんに思える。だが、丼の底へ箸を進めると予想外の事態が起きる。
底から現れるのは、なんと「ごはん」と「とろろ」だ。うどんを食べ終えた後、カレールーの旨味を吸い込んだとろろご飯が絶妙な雑炊風のリゾットへと姿を変える。1杯で2度の感動。これは単なる奇をてらったB級グルメではない。自家製麺率100%を徹底する地元うどん店店主たちの情熱が生み出した、緻密な計算の上に成り立つ逸品なのだ。
市内には40店以上の提供店が存在し、出汁の取り方やカレールーのスパイス調合、トッピングの工夫は店ごとに千差万別。老舗「玉川」の濃厚な伝統の味から、現代的なアレンジを施した新進気鋭の店舗まで、食べ比べの沼にはまる旅行者が後を絶たない。