改札口を抜けると、昼間でも薄暗いトンネル状の高架下通路が広がります。コンクリートのアーチが連続する構内には、昭和30〜40年代の佇まいを残す木造2階建ての長屋風家屋が組み込まれ、まるで映画のセットに迷い込んだかのような陰影美を創り出しています。
この特異なロケーションは数々の映像作品を魅了してきました。特に知られるのが、北野武監督のバイオレンス映画『アウトレイジ』です。作中の緊迫した密会シーンなどでその退廃的かつ重厚な雰囲気が遺憾なく活かされました。また、黒澤明監督の名作『野良犬』の着想源としても語り継がれるなど、フィルムノワール的な空気感を持つ場所として映画界でも唯一無二の地位を築いています。
かつて高架下で営業し、名物として親しまれた焼き鳥居酒屋「むらさき」の看板や建物もそのまま残されており、昭和の庶民文化の残り香を肌で感じ取ることができます。