80年代の日本のアパレルシーンには、現在も世界最高峰のメゾンとして君臨するレーベルから、時代を象徴する伝説的ブランドまでがひしめき合っていました。市場を牽引した主要勢力は大きく3つの潮流に分類できます。
第1の潮流が、世界に「黒の衝撃」を与えた前衛派です。コムデギャルソン(COMME des GARÇONS)とヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、1981年のパリ・コレクションで西洋の既成概念であった「ボディコンシャス」「色彩の美学」を根底から覆し、穴の開いたニットや未完成の仕立て、圧倒的な黒を提示しました。国内では全身を黒づくめで固める「カラス族」と呼ばれる熱狂的信奉者を生み出し、社会問題としてワイドショーを賑わせるほどのインパクトを放ちました。
第2の潮流が、洗練された都会派メンズ・レディースウェアの覇者となったBIGIグループやNICOLE(ニコル)です。菊池武夫氏が立ち上げた「MEN'S BIGI」は、萩原健一氏や松田優作氏がドラマで着用したことで爆発的な人気を獲得。松田光弘氏率いるNICOLEは、繊細なディテールと上質さで若者の憧れの頂点に立ちました。
第3の潮流が、ストリートやカジュアル層を巻き込んだ「PERSON'S」や「BA-TSU」「MILK」などのキャラクターズ系です。カラフルなスタジアムジャンパーやアイコニックなロゴは、中高生のお小遣いでも背伸びして買える対象として熱烈に支持されました。