豊洲の地下には、都市生活者の大半がその存在すら意識していない超巨大施設が眠っている。新豊洲変電所――500キロボルトという超高圧電力を都心部へ中継する、世界最大級の地下変電所だ。高度経済成長期から首都機能を支えてきたこの要衝が、設計思想から根本的に刷新される。
現場を統括する東京電力パワーグリッドの技術陣が目指すのは、単なる機器のリプレイスではない。これまでブラックボックス化しがちだった高圧変電設備に数万個規模のIoTセンサーを配置。デジタルツイン空間上に現実の設備状態をリアルタイム再現するシステムの導入が進む。突発的な設備トラブルの予兆検知精度は従来比で劇的に向上し、メンテナンスコストの大幅な圧縮と供給安定性の極大化を同時に達成する構えだ。
地上部には広大なオープンスペースが創出され、地域住民やオフィスワーカーが集う親水空間としての再整備が予定されている。地下に潜む堅牢なインフラと地上の潤いある都市空間。この二層構造こそが、今回のインフラ刷新がもたらす最大のイノベーションである。