今回のプロジェクトが業界内でこれほど注目を集める理由は、そのジャンルと作劇の深さにある。これまで是枝裕和監督作品に代表されるような、人間の微細な感情の揺れをすくい取る上質な作品群が国際的な映画祭で高い評価を得てきた。
本作はその系譜を受け継ぎつつ、息もつかせぬサスペンス・スリラーの構造へと大胆に昇華させている。重層的なプロット、倫理の境界線を問う過激な問いかけ、そして予測不能の心理戦。静かな日常が音を立てて崩れ去る極限状態の中で、主人公の内面をどのように体現するのか。新境地を開拓する挑戦に、映画ファンの期待は高まるばかりだ。