物語の発端は、世界屈指のオークションハウス「アルテミス」の東京プレビュー会場です。30年前に忽然と姿を消し、焼失したと伝えられていた幻の近代洋画『落日の告解』が、突然オークションに出品される場面から幕を開けます。開始早々、美術品鑑定 贋作の真相を巡る疑念が水面下で渦巻き始めます。
主人公の神崎怜(かんざき れい)は、かつて画壇の寵児と呼ばれながらも贋作騒動に巻き込まれ命を絶った天才画家の息子であり、現在は孤高の鑑定士として裏社会の美術調査を請け負っています。彼のもとに、大手通信社社会部の記者・西条薫(さいじょう かおる)が「あの絵画の発見には不可解な資金移動が絡んでいる」と接触してきたことで、運命の歯車が急速に回り出します。
二人の前に立ちはだかるのは、政財界に強力なパイプを持つ美術財団理事長・橘宗一郎。そして物語の鍵を握るのが、失われたはずの絵画を寸分違わず再現した謎の贋作師・藤堂佳奈です。それぞれの思惑が交錯する中、物語は単なる美術ミステリーの枠を超え、30年前の一族惨殺事件と巨大マネーロンダリングの闇へと突き進んでいきます。