アカシジアは、ギリシャ語の「座ることができない(kathesis=座る、a=否定)」に由来する医学用語で、日本語では静坐不能症(せいざふのうしょう)と訳されます。脳内の運動制御を司る神経回路に異常が生じることで起こる錐体外路症状(EPS)の代表格です。
その本質は「本人の意思に反して身体を動かさずにはいられない主観的衝動」と「客観的な落ち着きのなさ」が同時に現れる点にあります。臨床データによると、抗精神病薬の投与開始後や増量後、数日から数週間以内に発症するケースが大半を占めます。
見逃してはならないアカシジアの初期症状には、以下のような身体的・精神的サインが挙げられます。
- 座っていると足が落ち着かず、貧乏ゆすり(フットタッピング)を繰り返す
- 立ったり座ったりを頻繁に繰り返し、じっと静止していられない
- 部屋の中や廊下を行ったり来たり歩き回る(ペーシング行動)
- 足踏みを続けたり、体重を左右の足へ交互に移動させ続ける
- 胸や腹部の奥から「居ても立ってもいられない」ような激烈な焦燥感・不安感が湧き上がる
発症メカニズムの主因は、脳の黒質線条体と呼ばれる部位におけるドパミンD2受容体の過剰な遮断です。運動をスムーズにコントロールするドパミンの働きが急激に抑えられることで、ノルアドレナリン系などの興奮性神経系とのバランスが崩れ、運動抑制が効かなくなると同時に強い不穏状態が引き起こされます。