1983年に放たれたデビューアルバム『十七歳の地図』は、日本のロックの地平を永遠に変えてしまった。既存の社会規範や学校教育に対する苛立ちを、これほどまでに鋭利で美しいメロディに乗せて叫んだシンガーは他に存在しなかった。大人たちの欺瞞を撃ち抜く彼の歌声は、瞬く間に同世代のバイブルとなった。
父が世を去ったとき、まだ2歳だった息子・尾崎裕哉は、今や一人の確立されたミュージシャンとして活動を続けている。父親を彷彿とさせる圧倒的な声質と響きを持ちながらも、裕哉は偉大な父親の影をただ模倣するのではなく、自分自身の言葉で現代の希望と孤独を紡ぎ出す道を選んだ。
ライブのステージで裕哉が父の楽曲を歌うとき、会場には親子の枠を超えた普遍的な音楽の対話が生まれる。それは単なるノスタルジーではなく、尾崎豊という遺伝子が時代を跨いで進化し続けている証左でもある。