日本のヒグマ生息地は北海道だけ?本州出没の噂と生息域拡大の真相

日本のヒグマ生息地は北海道だけ?本州出没の噂と生息域拡大の真相

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結論から言えば、日本国内において野生のヒグマが自然繁殖・定着している生息地は北海道本島およびその周辺の属島(利尻島・国後島・択捉島など)のみです。本州、四国、九州に野生のエゾヒグマは1頭も生息していません。

それにもかかわらず、ネット掲示板やSNSでは「青森県の下北半島でヒグマが目撃された」「秋田の山中で見つかった巨大な足跡はヒグマではないか」といった真偽不明の言説が定期的に拡散されます。なぜこのような噂が後を絶たないのでしょうか。環境省野生生物課の担当者は調査報告において次のように分析しています。

「本州で『ヒグマを見た』と通報されるケースのほぼ100%は、200キログラム近くまで巨大化したツキノワグマの成獣オス、あるいはカモシカや大型イノシシの見間違いです。ツキノワグマの胸の三日月模様(月の輪)は個体によって極めて薄い、または完全に欠落している場合があり、遠目には全身黒褐色のヒグマに見誤られることが少なくありません」

生物地理学の観点からも、本州にヒグマが侵入・定着することは極めて困難です。北海道と本州の間には津軽海峡を境界とする「ブラキストン線(津軽海峡線)」が存在します。約1万5,000年前の最終氷期が明けて津軽海峡が形成されて以降、北方系動物であるヒグマと南方系ルーツを持つツキノワグマの生息域は完全に分断されました。ヒグマは優れた遊泳能力を持ち、道内の島へ数キロメートル泳ぎ渡る事例は確認されていますが、水深が深く潮流の極めて速い約20キロメートルの津軽海峡を渡り切ることは物理的に不可能です。

過去には「飼育施設からの脱走」が懸念された事例もありましたが、国内の動物園・サファリパーク等における特定動物の脱走防止設備基準は厳格化されており、本州の野山でヒグマが繁殖群を形成している客観的証拠は一切存在しません。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。