ネット上で特に頻繁に言及されるのが、ビックカメラなんば店内のエレベーターや非常階段に関する怪談だ。「誰も押していない階にエレベーターが自動で停止する」「非常階段を降りていると、後ろから足音がついてくる」といった話が定番として語られている。
しかし、建築・設備観点から取材を進めると、異なる側面が見えてくる。大型商業施設におけるエレベーターの制御システムは高度化されており、安全確認のための自動検知や、混雑時の自動キャンセル機能が働くことがある。また、広大な吹き抜け構造を持つ建築物では、気圧差による風切り音や温度変化に伴う建材の軋み音が響きやすい。
怪談として消費される現象の裏には、近代建築特有の音響・構造メカニズムが存在するのだ。だが、そうした合理的説明を受け入れつつも、どこか奇妙な感覚を拭えない来訪客がいるのも事実である。