注目すべきは、ジャンルの境界を軽々と飛び越えるその作劇スタイルだ。肉体の限界に挑む生々しいアクション映画の手触りを残しながら、一瞬の気の緩みも許さない緻密なサスペンスドラマの構造が幾重にも組み上げられている。CGに頼りすぎない生身のスタントと、研ぎ澄まされたカメラワークが織りなす緊張感は、観客の心拍数を直接揺さぶるだろう。
登場人物たちの心理戦は、台詞の端々に張り巡らされた伏線によって観客を翻弄する。冷たい光と影のコントラストを活かした独自の色彩設計は、登場人物たちの葛藤と狂気を鮮烈にスクリーンへと定着させる。単なる娯楽作にとどまらない、観る者の倫理観を試すような鋭い問いかけが全編に満ちている。