1995年、T-BOLANの全国ツアー中に突如として起きた異変。高音が突然出なくなり、声帯そのものには異常がないにもかかわらず、自分の意図通りに声が出なくなる。診断結果は「心因性発声障害」。喉の病気ではなく、過度のストレスや精神的な負担が喉の筋肉を硬直させてしまう難病だった。
「歌うこと」を人生のすべてとしてきた男にとって、声を失うことは自己の存在意義そのものを否定されるに等しい衝撃だった。メディアの表舞台から姿を消し、病の原因を突き止めるための長い暗闇の模索が始まった。病院を巡り、あらゆる療法を試し、もがき続けた日々。しかし、どれほど苦しんでも声は戻ってこない。絶望の底で彼を支えたのは、音楽への途切れぬ情熱と、「もう一度ステージへ立つ」という不屈の意志だった。