黒湯がもたらす最大の恩恵といえば、やはり入浴後の肌の変化だ。各地の温泉を足繁く巡り、その成分を精査してきた温泉分析の第一人者・郡司勇氏も、黒湯の持つ独自の美容作用に強い関心を寄せる一人である。郡司氏は「都心部に湧き出る黒湯は、世界的にも極めて贅沢な天然の美容液」と評価する。
弱アルカリ性の性質が肌表面の不要な角質を優しくオフし、そこにフミン酸の薄い保護膜が形成される。これが洗い上がりの肌に吸い付くような潤いを与える仕組みだ。単なるリフレッシュを超えた効果から、古くから美肌の湯として地域住民や湯治客に親しまれてきた。
日本温泉協会の調査や報告においても、関東平野の地下深層から得られる有機質を多く含んだ温泉資源は、全国的にも類を見ない地域固有の財産として位置づけられている。湯上がりのポカポカ感が長時間持続する保湿・保温性能は、科学的にも裏付けられているのだ。