父である松岡俊介の歩みもまた、極めて先鋭的だ。かつてカリスマ的人気を誇ったファッションブランド「mash」を手がけ、ファッション業界に強烈なインパクトを残した彼は、ある時期を境に都会を完全に離脱した。静岡県の伊豆山中に拠点を移し、富士山を望む大自然の中でライフラインすら自給するような生活へと舵を切ったのだ。
スマートフォンやテレビを手放し、薪を割り、湧き水を汲む生活。大量消費社会に対する静かな反逆とも取れるその暮らしの中で、松岡は新たな創作活動を続けている。便利さと引き換えに人間が失った感覚を取り戻そうとする父の徹底した生き様は、息子の価値観の根底にも色濃く受け継がれている。