インターネット上の掲示板やSNSでは、「カナヘビという名前に『ヘビ』と付いているから微毒があるのではないか」「噛まれると危険だ」といった根拠のない風評が散見されます。調査報道の観点から明確に結論付けますが、カナヘビに毒はあるか毒性の真相を問われれば、「100%完全無毒」です。
世界中に生息する約7,000種以上のトカゲのなかで、明確な毒器官を持つのはアメリカ毒トカゲやメキシコ毒トカゲなどごく一部に限られます。日本国内に生息するニホンカナヘビ、ニホントカゲ、アオカナヘビ等に毒腺や毒牙は一切存在しません。万が一指を噛まれたとしても、強い痛みを伴うことはあれど、毒液が注入される心配は皆無です。ただし、野生生物の口腔内には雑菌が存在するため、皮膚が傷ついた場合は念のため流水と石鹸で患部をよく洗い流す処置が必要です。
また、カナヘビとトカゲの生息地と生態における重要なサイクルとして、カナヘビの産卵時期と越冬冬眠の経緯が挙げられます。カナヘビの繁殖期は春先の4月から夏場の8月にわたり、メスは1回につき1〜6個の白い弾力性のある卵を、日当たりの良い腐葉土や石の下に産み落とします。卵は周囲の土壌から水分を吸収して徐々に膨らみ、約30〜40日で孵化します。
秋が深まり気温が15度を下回る10月下旬から11月頃になると、彼らは越冬態勢に入ります。カナヘビは地中深くまで潜らず、日当たりの良い倒木の下や落ち葉の堆積層、石の隙間など浅い場所で冬眠する性質があります。一方、ニホントカゲは土を掘る能力に長けており、地中30cm以上の深部まで自力でトンネルを掘って潜り込み、越冬します。都市部の開発によって露出した土壌や石垣がコンクリートで固められると、特に地中潜行性の強いトカゲから姿を消していくのは、こうした越冬生態の違いが深く関係しています。