金属を見分ける際、多くの人が真っ先に試すのがマグネットテストです。アルミニウムは非磁性体であり、磁石が一切反応しない性質を持ちます。しかし、ステンレス鋼を「鉄の合金だから磁石がくっつくはず」と決めつけると、判定を一瞬で誤ります。 ステンレスは金属組織の結晶構造によって大きく3つの系統に分類されます。 * オーステナイト系(SUS304、SUS316など):磁石につかない(非磁性)。スプーン、フォーク、シンク、高級調理器具などに多用。 * フェライト系(SUS430など):磁石に強くつく(強磁性)。安価なカトラリー、洗濯機のドラム、厨房パネルなど。 * マルテンサイト系(SUS410、SUS420など):磁石に強くつく(強磁性)。包丁、ハサミ、タービンブレードなど高硬度工具。 流通しているステンレス製品の約6割以上を占めるオーステナイト系ステンレス(SUS304)は、鉄に18%のクロムと8%のニッケルを含有しています。ニッケルが加わることで常温でも面心立方格子構造(オーステナイト相)が安定し、磁性を失います。つまり「磁石がつかない=アルミ」と短絡的に結論づけると、SUS304をすべてアルミと誤認してしまう事態に陥ります。 さらに厄介なのは「加工誘起マルテンサイト変態」と呼ばれる現象です。本来は磁石につかないSUS304であっても、プレス加工や強い曲げ加工、絞り加工を受けた箇所(鍋の角部やシンクの縁など)は金属組織が部分的に変化し、わずかに磁石が引き寄せられることがあります。「縁だけ磁石が弱く反応する」という場合は、アルミではなくオーステナイト系ステンレスと判断できます。
ステンレスとアルミの見分け方完全解説!磁石の罠とプロの判別法
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