エンタメ市場をめぐる独自取材で判明したのは、作品の「大ヒット」と「関係者の手元に残る利益」の間に存在する大きな乖離だ。従来の邦画興行では、入場料収入から劇場側の取り分を引き、残りを配給会社と制作委員会で分配するシステムが定着していた。しかし、この構造では二次利用や海外展開での利益還元が限定的であり、出資割合の低い制作プロダクションや現場スタッフへの還元は極めて乏しい。
一方で、グローバル配信プラットフォームが主導する買い取り型の契約モデル(コストプラス方式など)では、制作段階で確実な利益が保証される。これにより制作側は未曾有のビッグ予算を手にするが、世界的爆発ヒットを記録したとしても将来的なレベニューシェアを得にくいジレンマを抱える。ある民放キー局プロデューサーは「従来の興行モデルと配信主導の収益構造の間で、利益の波及経路が全く異なる。ヒットの恩恵が誰の懐に入るのか、そのルール自体が塗り替わった」と証言する。