「息をのむような美しい緑の絨毯」と称された白米千枚田の光景は、2024年元日の大地震によって無数の地割れと法面崩落に見舞われました。さらに追い打ちをかけたのが同年9月の豪雨災害です。土砂が棚田へ流れ込み、復旧しかけた水路や農道が再び寸断されるという壊滅的な打撃を受けました。
白米千枚田の現在の状況を整理すると、2026年時点では「土砂撤去と応急復旧の完了期」から「恒久的な法面安定化と営農基盤の再生期」へと移行しています。輪島市や石川県の土木復興計画に基づき、大型重機を直接投入できない繊細な急傾斜地では、斜面上部・下部からのアンカー工法や軽量資材を用いた特殊工法が展開されてきました。
景観の美しさだけでなく、地盤の滑動を食い止める治山・治水機能を併せ持つ棚田だからこそ、単なるコンクリート舗装による固化は許されません。文化庁や専門家の監修のもと、昔ながらの土畦(どけい)と石積みを生かした伝統的修復と、地下排水パイプの布設といった現代防災技術を融合させたハイブリッドな復元が進められています。全1,004枚のうち、安全が確保され水路が通水した区画から順次、保全活動が再開されています。