過去のトラウマに縛られていた寂雷に、新たな「居場所」をもたらしたのがシンジュク・ディビジョン「麻天狼」のチームメイト、観音坂独歩と伊弉冉一二三です。
ブラック企業で心身をすり減らし、重度の自己否定に苦しむ医療系機材営業の観音坂独歩。そして、凄腕ホストとして華やかに振る舞いながらも、女性恐怖症という深刻なトラウマを抱える伊弉冉一二三。寂雷は二人の主治医であり、精神的なメンターとして彼らの痛みに寄り添い、二人は寂雷の抱える孤高の重圧を純粋な慕情と家族のような温もりで包み込みました。
この三者の関係性を象徴するのが、神宮寺寂雷の代表的なソロ曲『迷宮壁』(作詞:GADORO、作曲:Provoker)です。ポエトリーリーディング調で紡がれるこの楽曲は、医師としての宿命、救えない命に対する絶望、自らの過去の罪と向き合う孤独な内省が極限まで煮詰められています。
「迷宮壁」の中で寂雷は、ただ綺麗な言葉を並べるのではなく、「綺麗事だけでは救えない現実」を泥臭く歌い上げます。この魂の叫びがあるからこそ、独歩と一二三という不完全な若者たちを導く言葉に嘘がなく、聴く者の心を揺さぶるのです。趣味である座禅や釣りに一二三を誘い、ぎこちなくも穏やかな日常を共有する姿は、寂雷自身が麻天狼によって「癒やされている」証拠に他なりません。