歴史を遡れば、江戸時代に誕生した元祖はんぺんの主役はスケトウダラではありませんでした。ヨシキリザメやアオザメといった「サメ」こそが、本物の味を支える主原料だったのです。サメの肉は尿素を含んでいるため傷みにくく、すり潰すと非常に強い粘り気が出ます。これが、弾力がありつつも口の中でとろける最高級はんぺんを生み出す秘密です。
現在、安価な大量生産品に押されていたサメ原料のはんぺんが、地方の老舗店舗を中心に再び脚光を浴びています。未利用魚としてのサメの有効活用は、SDGsの観点からも理にかなっています。少し値は張るものの、「本物の味と持続可能性」を求めるグルメな消費者の間で、この伝統的な選択肢が支持を集めているのは興味深い現象です。