日本中を震撼させた名古屋アベック事件。一体なぜ、このような凄惨な凶行は起きてしまったのでしょうか。警察の取り調べや法廷審理で浮き彫りになったのは、確たる計画性のない「不良グループ特有の歪んだ集団心理」と「歯止めの効かないエスカレーション」でした。
加害者グループの面々は、シンナーの乱用や恐喝(カツアゲ)を常習的に繰り返していた非行少年少女たちでした。当初の動機は「遊ぶ金欲しさにアベックを襲って金を奪う」という短絡的なものに過ぎませんでした。しかし、犯行を重ねる過程でシンナーによる判断力の低下が重なり、理性を完全に失っていきました。
犯罪心理学における「没個性化」と「集団浅慮(グループシンク)」が最悪の形で連鎖した結果でもあります。主犯格の威勢に引きずられた共犯者たちは、グループ内での序列誇示や仲間外れへの恐怖から残虐行為を競い合う心理状態に陥りました。「ここで止めたら自分が裏切り者として制裁を受ける」という相互監視の力学が働き、誰一人としてブレーキを踏めないまま、強盗から暴行、凌辱、そして最終的な連続殺害へと破滅的な暴走を遂げたのが事件の暗部です。