劇場公開から現在に至るまで、映画レビューサイト(FilmarksやYahoo!映画)やSNS(X / 旧Twitter)では、室井慎次の結末を巡って前代未聞の激論が展開されました。寄せられた数万件に及ぶファンの生の声を分析すると、評価は明確に二分されています。
肯定的な意見として圧倒的多数を占めたのは、「室井という男の不器用さと人間味に涙した」「肩書をすべて脱ぎ捨てた室井が、子どもたちの前で見せた父親の顔に救われた」という感動の声です。特に日向杏を演じた福本莉子の圧倒的な怪演に対し、「母親譲りの狂気と、室井の温もりに揺れる少女の心理を見事に体現した」と絶賛が集中しました。
その一方で、長年のファンからは強い拒絶反応や戸惑いの声も噴出しました。「なぜ国民的キャラクターが凶悪犯との対決ではなく、吹雪の中で犬を探して死ななければならないのか」「青島との約束を果たせないままフェードアウトするのは納得がいかない」という批判です。華々しいヒロイズムを期待していた観客にとって、そのリアルすぎる日常の延長線上にある死は、受け入れ難いショックを与えたと言えます。
特筆すべきは、主演の柳葉敏郎自身が公開特番や公式インタビューで語った覚悟です。「室井慎次というキャラクターを自分の中で終わらせるため、中途半端な延命ではなく、完全に命を閉じさせること」を映画出演の条件の一つとして制作陣と徹底的に議論したことを明かしています。役者自身が27年間にわたって背負い続けた重圧と決別するための「魂の幕引き」であった事実が、作品の重みを物語っています。