地元で絶大な支持を集めていたユナイテッド・シネマ トリアス久山は、なぜ閉館という決断を下すことになったのでしょうか。商業施設関係者への取材や当時の業界動向を分析すると、単一の要因ではなく3つの構造的な要因が重なり合っていた実態が浮き彫りになります。
最大の直接要因は「定期建物賃貸借契約の満了」です。1999年のトリアス開業期から20年以上にわたって営業を続けてきた同館は、契約更新のタイミングを迎えました。施設運営元とシネマコンプレックス運営会社の間で今後の事業性や設備更新費用の負担を含めた協議が行われた結果、再契約の見送りが決定されました。
2つ目の要因は「福岡東部・近郊エリアにおけるシネコン競争の過熱」です。開業当時は圧倒的なスクリーン数を誇ったものの、近隣のイオンモール福岡(旧ダイヤモンドシティ・ルクル)に「イオンシネマ福岡(旧ワーナー・マイカル・シネマズ)」が開業し、ファミリー層や車移動の鑑賞客が分散。さらに福岡市内中心部への大型シネコン集中も影響を与え、商圏内のシェア争いが年々厳しさを増していました。
3つ目は「大型劇場の維持コストとコロナ禍の打撃」です。全14スクリーン・2,300席を超える巨大設備は、平日の稼働率維持に多大な空調・人件費を要します。2020年からの未曾有の感染症拡大によって映画興行全体が休業や座席間隔制限を余儀なくされ、巨額の固定費を抱える大規模館ほど損益分岐点の上昇に耐えきれなくなったことが決定打となりました。