脚本家・ふじきみつ彦とは一体何者なのか。その作風を深く知るためには、彼が歩んできた独自のキャリアパスに目を向ける必要があります。
1974年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後に一度は一般企業へ就職し、アパレルや広告業界などで社会人経験を積んだ後、20代後半で劇作の世界へと足を踏み入れました。いわゆる演劇エリートのコースではなく、社会の荒波や市井の人々の暮らしを肌で知る生活者としての視点を持っていたことが、後の脚本家としての血肉となっています。
舞台の劇作家としてキャリアをスタートさせた彼は、劇団の旗揚げや外部プロデュース公演の戯曲を次々と執筆。ミニマムな空間で交わされる登場人物たちの緻密な会話劇、言葉と言葉の「間(ま)」に宿る滑稽さや切なさを巧みに表現し、小劇場界隈で瞬く間に注目を集めました。
テレビ界への本格進出において大きな転機となったのが、2009年に放送開始されたNHK Eテレの幼児向け教育番組『みいつけた!』への参加です。椅子をモチーフにしたキャラクター「コッシー」や「サボさん」「スイちゃん」が繰り広げるコミカルでシュールな世界観を構築し、子どもだけでなく一緒に視聴する親世代の心まで掴むヒットメーカーとしての頭角を現しました。