玉鷲を語る上で欠かせないのが、土俵上の猛々しい姿からは想像もつかないキュートな私生活です。趣味として公言している手芸とお菓子作りのレベルは、単なる暇つぶしの領域を遥かに超え、職人級の腕前としてメディアでも度々紹介されてきました。
手芸においては、自らミシンを操り、複雑なパッチワークや細密な刺繍、バッグやポーチの制作を手掛けています。後援会関係者や部屋の若い衆に手作りの巾着をプレゼントすることもあり、その丁寧な縫製技術にはプロのキルト作家も舌を巻くほどです。また、スイーツ作りでもスポンジケーキを型から焼き上げ、繊細なデコレーションを施したホールケーキを披露するなど、SNS上では「女子力が高すぎる関取」として広く親しまれています。
この家庭的な素顔の背景には、最愛の妻・エルデネビレグ夫人と2人の息子の存在があります。2012年に結婚した夫人は玉鷲の精神的支柱であり、厳しい食事管理と精神面のケアを一手に引き受けてきました。家庭では良き父親として子どもたちとお菓子を作り、温かな団らんの時間を何よりも大切にしています。
スポーツ医学の観点から見ても、この「土俵外での徹底したスイッチの切り替え」は重要な意味を持ちます。針先に全神経を集中させる刺繍や、分量を正確に計量する製菓の作業は、アドレナリンが過剰に分泌される勝負の世界から意識を完全に切り離し、副交感神経を優位にして脳の疲労をリセットするマインドフルネス効果をもたらしています。この精神的な緩急こそが、玉鷲のメンタルを摩耗から守り続けているのです。