トラピスト大修道院の真実|女人禁制の誤解と見学限界・限定グルメ解説

トラピスト大修道院の真実|女人禁制の誤解と見学限界・限定グルメ解説

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トラピスト大修道院の根幹にあるのは、6世紀に聖ベネディクトが定めた会則に基づく「祈り、働け(Ora et Labora)」の規律です。修道士たちは私有財産を持たず、俗世のあらゆる娯楽やテレビ、インターネットから隔絶された空間で一日を過ごします。

報道各社の取材や修道院側の記録資料によると、修道士たちの朝は早く、午前3時30分の起床の鐘とともに始まります。一日7回に及ぶ共通の祈り(公祷)、聖書の黙想、そしてパンやバターの製造、山林の手入れ、農作業といった肉体労働が規則正しく組み込まれています。食事は質素な菜食が中心であり、肉類を口にすることは病気療養時などを除いて基本的にありません。

この生活の中で最も徹底されているのが「沈黙の遵守」です。必要な業務連絡を除き、私的なおしゃべりは厳格に慎まれます。言葉を削ぎ落とし、自らの内面と神との対話に没入することが彼らの本分だからです。

近代文学史の観点からも、当別トラピストは重要な舞台となっています。詩人・三木露風は1920年(大正9年)から約4年間にわたり、この修道院の文学講師として招かれ、敷地内の離れで生活を送りました。名作童謡『赤とんぼ』の着想を得たのも、修道院から眺める函館湾の夕暮れや露風自身の幼少期の記憶が結びついた結果と伝えられています。露風が著書『修道院生活』で記した「ここには純粋な精神の平和がある。世の人が求める富も名誉も、この静寂の前には影の如きものに過ぎない」という一節は、修道士たちが守り続ける生き方の本質を突いています。

国内の少子高齢化と同様、修道院に身を置く修道士の人数も年々減少し、平均年齢の上昇という現実に直面しています。それでもなお、毎朝欠かさず鳴り響く鐘の音と、代々受け継がれてきた発酵バターの製法は、時代に迎合しない祈りの結晶として脈々と受け継がれています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。