読者が最もつまずきやすいのが、「続柄欄には自分から見た相手を書くのか、それとも相手から見た自分を書くのか」という視点の混乱です。続柄とは単なる親族の名称ではなく、「基準となる特定人物から見た親族関係」を表す相対的な概念だからです。
役所の手続きで最大の関門となるのが住民票における世帯主基準です。住民基本台帳法に基づき、住民票は「世帯」をひとつの単位として編製されます。そのため、住民票関係の書類に記載する続柄は、例外なく「世帯主から見てその人が誰にあたるか」を記載しなければなりません。
例えば、世帯主が父親で、息子のあなたが自分の住民票の写しを申請する場合、申請書の続柄欄には「本人」と書いてはいけません。世帯主(父)から見たあなたの立場であるため、正しくは「子」と書く必要があります。逆に、あなた自身が世帯主として一人暮らしをしている場合であれば、世帯主から見た自分自身となるため「本人」または「世帯主」と記入します。この「主客の反転」を理解していないと、窓口で差し戻しを受けることになります。
一方、勤務先に提出する年末調整の申告書や確定申告書、民間の履歴書などは「本人基準」で構成されています。申告書を書いている「あなた自身(申告者)」を起点として、対象者が誰にあたるのかを記述します。配偶者を書くなら「妻」「夫」、子どもなら「子」と書きます。このように、書類の設計思想が「世帯単位(住民票)」なのか「個人単位(税務・人事)」なのかを把握することが、迷いを断ち切る唯一の鍵です。