ロックバンド「くるり」に2011年に加入し、グループに新たな風を吹き込んだファンファン。彼女の脱退は、多くのリスナーにとって突然の出来事のように感じられたかもしれない。しかし、その決断の根底には、ライフステージの変化と自身の音に対する極めて誠実な向き合い方が存在していた。
結婚や出産という人生の大きな転機を迎え、子育ての日常と目まぐるしいバンド活動の両立を模索するなかで、彼女が手繰り寄せた選択肢は「一度立ち止まること」だった。己の表現者としての姿を見つめ直す時間は、決して後ろ後ろへと退く撤退ではなく、次なる表現領域へ足を踏み出すための不可欠なプロセスだった。