会見の中で地震学的な核心となるのが、震源の深さとメカニズム(発震機構解)の解説です。気象庁の担当官がホワイトボードやモニターに投影する「ビーチボール」と呼ばれる円形の発震機構図は、断層がどのような力で、どちらの方向に滑ったのかを示しています。
東西方向に圧力軸を持つ逆断層型なのか、横ずれ断層型なのか、あるいは張力による正断層型なのかによって、被害の様相は一変します。特に震源の深さが10km〜20km前後の極浅い場所で発生した場合、直上の地表には猛烈な縦揺れ(P波)と横揺れ(S波)がほぼ同時に襲いかかり、木造住宅の倒壊や道路の亀裂が急激に多発します。一方で、深さ数百kmで発生する深発地震の場合、震源直上よりも遠く離れた太平洋側で強い揺れが観測される「異常震域」現象が発生することもあり、会見ではその力学的な波及経路が詳細に説明されます。
また、海域で発生した地震の場合、断層運動による海底面の上下変動が直接津波の引き金となるため、断層の傾斜角やすべり量の推計が注視されます。気象庁の解析によって、プレート境界面で起きたスラスト運動(沈み込む海洋プレートと陸のプレートの境界滑り)であると判明した瞬間、関連機関の間には一気に緊迫感が張り詰めます。それは、後続する広域連動地震や長周期地震動の発生ポテンシャルを意味するためです。