ルールと本人の想いを繋ぎ、侍ジャパンの扉をこじ開けた張本人こそ、当時の代表監督を務めた栗山英樹氏でした。代表選考を進める中で、栗山監督は「世界一を奪回するためには、メジャーの動く球に対応できる確実な出塁能力と、外野の強肩・広い守備範囲を持つピースが不可欠」と確信していました。
アナリスト陣からリストアップされた候補者の中にいたのが、当時セントルイス・カージナルスで頭角を現していたヌートバーでした。栗山監督が惹かれたのは、単なる打率などの数値だけではありません。四球を選び取る卓越した選球眼、外野フェンスに激突しながらも打球を離さない泥臭いディフェンス、そして何よりも「全力疾走を怠らないプレースタイル」でした。
「チームを勝たせるために、泥だらけになって白球を追える選手が必要だ」――栗山監督は2022年秋、オンライン通話ツールを介してヌートバー本人と直接会談を実施。通訳を介しながらも、画面越しに「君の力で日本を世界一にしてほしい。一緒に戦ってほしい」と情熱をぶつけました。ヌートバーはこの直談判に対し、躊躇することなく「光栄です。ぜひ日本代表のために戦いたい」と即答。指揮官の揺るぎない信念と熱意が、前例のない日系リーガー招集という歴史的決断を実現させたのです。