耳の穴のできものに対して、家庭にある常備薬で対処したいと考えるケースは多いでしょう。その際の選択基準を整理します。
ニキビケアの定番として知られるオロナインH軟膏(主成分:クロルヘキシジングルコン酸塩液)は、殺菌・消毒作用を持つため、耳の入り口付近にできた初期の軽度な吹き出物には一定の緩和効果が期待できます。しかし、オロナインは抗菌力としては比較的マイルドであり、黄色ブドウ球菌による活発な化膿や深い毛嚢炎を劇的に鎮静させる医薬品ではありません。
市販薬で対処する場合、ドラッグストアで購入すべきは化膿性皮膚疾患用の抗生物質配合軟膏(テラマイシン軟膏、ドルマイシン軟膏、クロマイ-P軟膏など)です。これらは細菌の発育を直接阻害する成分を含んでいます。
【セルフケアにおける塗布の鉄則】 塗布する際は、決して指を突っ込まず、清潔な綿棒の先端に少量の軟膏を取り、耳の穴の入り口(外から目視できる範囲)に優しく薄く置くように塗布してください。耳の奥深くへ綿棒を押し込むと、薬剤が鼓膜に付着したり、耳垢を奥へ押し込んだりして難聴や外耳道閉塞を招く恐れがあります。48時間塗布しても症状が改善しない場合は、直ちにセルフケアを中止してください。
【プロの結論】自力対処と医療機関受診を見極める明確な判断基準
耳の穴のトラブルにおいて、自力での経過観察を継続すべきか、医療機関へ直行すべきかの判断基準を以下に示します。
【市販薬で様子を見て良いケース】
- 触れなければ強い痛みはなく、日常生活に支障がない
- できものが耳の穴のすぐ入り口(手前)にあり、目視できる
- 耳だれ(浸出液・排膿)や聞こえにくさが一切ない
【直ちに専門医を受診すべき危険シグナル】
- 何も触れなくてもズキズキと拍動性の痛みが続く
- 耳の穴から黄色い膿や悪臭のする液体が出ている
- 痛みのために口を開けられない、食事が噛めない
- 耳が詰まった感じ(難聴・耳閉感)や耳鳴りが伴う
- 発熱や耳周辺のリンパ節の腫れが確認できる
受診先として耳鼻咽喉科と皮膚科のどちらを選ぶべきかという疑問に対しては、「耳鼻咽喉科」の受診を強く推奨します。皮膚科でも対応可能ですが、耳鼻咽喉科には外耳道専用の内視鏡スコープ、吸引器具、鼓膜観察用顕微鏡が完備されています。狭い耳の穴の中を安全に観察・処置し、外耳道炎や真菌感染(耳真菌症)を正確に鑑別して適切な点耳薬・内服抗生剤を処方できるのは耳鼻咽喉科ならではの強みです。