歴代の金星最多献上横綱となったのは、優勝24回を誇る第55代横綱・北の湖敏満です。通算53個という突出した金星配給記録を残していますが、この数字の背景には北の湖ならではの土俵事情がありました。
21歳2カ月という当時の最年少記録で横綱に昇進した北の湖は、歴代3位となる横綱在位63場所という長期政権を築きました。在位期間が長ければ長いほど、平幕力士と対戦する絶対数は天文学的に増えていきます。
加えて、当時の北の湖は「怪我をしていても土俵に穴を開けない」という強烈な責任感を貫いていました。万全ではないコンディションであっても休場を選ばず、土俵に上がり続けた結果として金星を許す場面が増加したのです。全盛期の圧倒的な強さで「憎らしいほど強い」と恐れられた怪童の裏返しとして、53個の配給は土俵を守り続けた鉄人の勲章として語り継がれています。