差別問題をめぐっては、サポーターの間で「挑発と差別の境界線」に関する重大な誤解が長年放置されてきました。「相手を動揺させるための野次(ヤジ)に過ぎない」「差別する意図はなかった」という釈明は、国際基準においては一切通用しません。差別かどうかを判定する基準は「発信者の意図」ではなく、「用いられた表現や行為が特定の属性を侮辱・排除する客観的事実に基づいているか」にあるからです。
また、スタジアム内だけでなくSNS上でのダイレクトメッセージやリプライによる誹謗中傷が急増しています。2021年のEURO決勝以降、イングランド代表選手が浴びせられたヘイト投稿を機に、ソーシャルメディア企業と警察当局の連携が進みました。現在ではアカウントの匿名性に隠れて差別的投稿を行った加害者が、IPアドレスから特定されて逮捕・起訴される事例が欧州を中心に定着しています。