和風月名の中でも抜群の知名度を誇る「神無月」と「師走」ですが、ネット上や一般的な会話では誤った俗説がそのまま広まっているケースが少なくありません。
まず10月の「神無月」について、「全国の神様が出雲大社に集まるため、各地から神様がいなくなる月」という解説が定着しています。これは中世以降の民間信仰や寺社縁起によって広まった魅力的なストーリーですが、言語学的な本来の語源は異なります。「水無月」と同様に、「神無月」の「な」も連体助詞の「の」であり、本来は「神の月(神を祀る神聖な月)」を意味していたのが有力な学説です。
同様に12月の「師走」も、「普段は落ち着いている師匠や僧侶(法師)が走り回るほど忙しい月」という説(師馳す)が通説として知られています。しかし、古代の文献では「年が果てる」を意味する「年果つ(としはつ)」が転じたとする説や、農作業を「仕果つ(しはつ=やり終える)」が語源であるとする説など、多角的な起源が指摘されています。テストの記述問題では「僧侶が走り回る季節の慌ただしさ」を押さえつつ、教養として多層的な言葉の歴史を知っておくと記憶がより強固になります。