岩手・慰霊の森の現在|森のしずく公園改名の真相と全日空事故の記憶

岩手・慰霊の森の現在|森のしずく公園改名の真相と全日空事故の記憶

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森のしずく公園の麓にある駐車場に車を停めると、まず迎えてくれるのは「森のしずく公園」と刻まれた新しい銘板と、静かに佇む案内所・休憩舎です。ここから山頂の慰霊碑へと至るには、杉の巨木に挟まれた全333段の石段を登らなければなりません。

この階段は、事故現場の険しさを物語る象徴的な遺構です。傾斜は想像以上に急であり、手すりが設置されているものの、一歩一歩踏みしめるごとに息が上がります。足元には落ち葉が払われ、段差の崩れも修復されており、地元有志や自治体による手厚い維持管理が肌で感じられます。木々の間から差し込む光の筋を見上げながら登る時間は、否応なく犠牲となった162名の無念と、残された遺族の悲嘆の深さに思いを馳せる内省のひとときとなります。

階段を登りきると、視界が一気に開け、綺麗に刈り込まれた芝生広場が広がります。中央にそびえ立つのが、白く輝く「航空安全祈念の塔」です。高さ約10メートルの祈念塔は、合掌する手を模した造形となっており、その足元には犠牲者の御霊を祀る納骨堂が厳かに据えられています。

広場の一角には「平和の鐘」が設けられており、参拝者が静かに鐘を鳴らすと、重厚な余韻が雫石の山並みに吸い込まれていきます。現在でも、全日空をはじめとする航空会社の関係者が新人研修や幹部着任時にこの地を訪れ、二度と事故を起こさないという安全への宣誓を捧げています。かつてネットで語られたような「不気味な廃墟」という様相は微塵もなく、そこにあるのはただ、磨き抜かれた慰霊の誠意そのものです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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